★ある釣り好きの男とその友達の会話

     友達「ぬしゃどけ行くとや?そぎゃん竿ばぐっさ持って。」
       
「あなたどこに行かれるのですか?そんなに竿をたくさん持って。」
      男「なん、ちょっと天草に釣りに行こかて思て。」
       
「なあに、ちょっと天草に釣りに行こうかと思いまして。」
     友達「よかなぁ。で、きょうはなんば釣りに行くとかいた。」
      
 「いいですねぇ。それで、きょうは何を釣りに行くのですか?」
      男「なーんちゃ決めとらんばってんガラカブてろんアジゴてろんば釣ろうて思うとるたい。」
       
「何とは決めてませんがカサゴや小アジなどを釣ろうと思っています。」
     友達「ほんなこつならチヌば釣ろごたっとじゃなかつかい?」
      
 「本当なら黒鯛を釣りたいのではありませんか?」
      男「そぎゃんたい。ほんなこつはチヌば釣ろごたっとたい。ばってん腕んなかけんなぁ。」
      
 「その通りです。本当は黒鯛を釣りたいのです。でも技術がありませんならねぇ。」
     友達「そらぁしょんなか、小物ばし狙わなん。」
      
 「それはしょうがないですね、小物でも狙わないと。」
      男「んならクーラーに入りきらんごつ釣ってくるけん待っときなっせ。」
       
「それじゃクーラーボックスに入りきらないほど釣ってきますから待っててください。」
     友達「ああ、んなら期待して待っとくけんね。今夜はおかずば買わんでよかたい。」
       
「はい、では期待して待っていますからね。今夜はおかずは買わなくていいですね。」

     
★ある昼下がりのオフィスのOLの会話

     A子「ねぇねぇ、知っとるね?あん噂。」
      
 「ねぇねぇ、知ってる?あの噂。」
     B子「なんなん?知らん知らん、なんの噂?」
       
「なになに?知らない知らない、何の噂?」
     A子「なん知らんとね?みんな知っとるよ。」
       
「え、知らないの?みんな知ってるよ。」
     B子「あー、もしかして課長とC子が不倫しとるていう噂ね?」
       
「あー、もしかして課長とC子が不倫してるっていう噂ね?」
     A子「そうそう、まさかあん二人がねぇ。たまがったー。」
       
「そうそう、まさかあの二人がねぇ。びっくりしたー。」
     B子「まだ不倫の現場ば目撃されとらんばってん、絶対あそこは怪しかよ。」
       
「まだ不倫の現場を目撃されてないけど、絶対あそこは怪しいよ。」
     A子「ときたま見つめあってニヤニヤしよらすもんね。」
      
 「ときどき見つめあってニヤニヤしてるもんね。」
     B子「課長な別居しとるばってんまだ奥さんと離婚しとらっさんとだろ?」
       
「課長は別居してるけどまだ奥さんと離婚してないんでしょう?」
     A子「年内には別れらすていう話よ。」
       
「年内には別れるという話よ。」
     B子「やっぱC子との不倫が別居の原因だろか?」
       
「やっぱりC子との不倫が原因かな?」
     A子「違うごたるよ。C子と噂になったとはこん前で、別居は去年からだけん。」
       
「違うみたいよ。C子と噂になったのはこの前で、別居は去年からだから。」
     B子「ばってん、なんであん課長だろか?頭ん毛の薄か人は好かんて言いよったて。」
       
「でも、なんであの課長なんだろう?頭の毛が薄い人は嫌いって言ってたのに。」
     A子「わからんねぇ。まぁ恋愛は理屈じゃなかけんね。」
       
「わからないなぁ。まぁ恋愛は理屈じゃないからね。」

     ★ある家庭の夕食時の会話

      母「あなた、きょうも○太がテストで100点とったばいた。」
       
「あなた、きょうも○太がテストで100点とったわよ。」
      父「お!またか。偉かなぁ○太は。将来は熊大ばい。」
       
「お!またか。偉いなぁ○太は。将来は熊大(熊本大学)だ。」
     ○太「うん、おれ勉強大好きだん。」
       
「うん、おれ勉強大好きだもの。」
      父「偉か偉か。それにくらべて●男はあやつぁーどこでなんしよっとだろか!」
      
 「偉い偉い。それにくらべて●男はあいつは何処でなにをしてるのだろうか!」
      母「あなた、●男ん話はやめましょう・・・。」
      
 「あなた、●男の話はやめましょう・・・。」
      父「なんかあの、ミュージシャンてろんになるていうて出ていったきり全然連絡もよこさんで。」
       
「なんだあの、ミュージシャンとかいうのになるといって出ていったきり全然連絡もしないで。」
      母「あなた・・・。」
       
「あなた・・・。」
      父「あやつがおかげで母親は病気になったていうとに。もう帰って来たっしゃ家に入れん!」
      
 「あいつのおかげで母親は病気になったというのに。もう帰って来ても家に入れん!」
   母・○太「・・・。」
     ○美「お父さん、やめなっせそん話は!」
       
「お父さん。やめてその話は!」
      父「なんか!いつの間に帰ってきとったつか!○美は!」
       
「なんだ!いつの間に帰って来てたのか!○美は!」
     ○美「もうやめなっせ、●男の話ばしだしたら興奮して手のつけられんとだけん。」
      
 「もうやめてよ、●男の話をしだしたら興奮して手がつけられないんだから。」
      母「そうよ、やめなっせ!またリモコンば壊されたらかなわんけん。」
       
「そうよ、やめて!またリモコンを壊されたらたいへんだから。」
     ○美「こないだはリモコンば興奮してお父さんが投げて壊したもんだけん、大変だったとよ!」
       
「この前はリモコンを興奮してお父さんが投げて壊したものだから、大変だったのよ!」
      母「そぎゃん、いっちょいっちょテレビのとこまで行かなんもん。」
       
「そうよ、いちいちテレビのところまで行かないといけないから。」
      父「・・・悪かった。あんま興奮すっともいかんて医者ん言いよらすけん、もう●男の話はやめよう・・・。」
      
 「・・・悪かった。あまり興奮するといけないと医者も言ってるし、もう●男の話はやめよう・・・。」
     ○太「そぎゃんたい!これからは●男兄ちゃんのこつは忘れて4人で楽しく暮らそう!」
       
「そうだよ!これからは●男兄ちゃんの事は忘れて4人で楽しく暮らそう!」
      父「ほんなこつ○太は偉かなぁ。」
       
「本当に○太は偉いなぁ。」
   母・○美「・・・(涙)」


     それぞれ違ったシチュエーションでの熊本弁での会話でした。
     実際にどういう風につかっているのかが、少しでもわかってもらえたかと思います